ハムスターの頬袋の病気とトラブル事例集

ハムスターの特徴と言えば、そんなに膨らむの?!と驚くくらいのお顔になってしまう頬袋。

パンパンになっているお顔はとっても可愛いですよね。

しかしその頬袋にもトラブルがあることがあります。

これからお迎えする人も、すでに一緒に暮らしている人も、ハムスターの頬袋について一緒に学んでいきましょう。

頬袋についての基礎知識

頬袋ってなんですか?と聞かれたら多くの人は「食べ物をつめるもの」と簡単に答えられると思います。

ですが、頬袋はどうしてあるの?頬袋は壊れないの?と聞かれたらどう答えますか?

こんな質問をされることは滅多にないとは思いますが、ハムスターと暮らしていく上では知っておいて損はありません。

ここでは頬袋について基本的なことをご紹介いたします。

頬袋の構造

頬袋とは前歯と奥歯の間から肩甲骨あたりまでの口の中の皮膚のことを指しています。

なかなかハムスターの体の中を見る機会はありませんが、海外で食べ物を頬袋に詰めているハムスターのレントゲン映像が公開されています。

それがこちらです。

すごい映像ですよね。

頬袋の位置もはっきりとわかりますし、膨らみ方も腰のあたりまで食べ物が詰めていけていることがおわかりいただけたかと思います。

頬袋は伸縮性に優れており、通常は肩甲骨までのものが腰のあたりまで膨らんでいきます。

それと同時にハムスターの皮も柔軟であることもわかりますね。

この動画ではシリアンハムスターがモデルではありますが、ドワーフハムスターも大きさは違えど同様に膨らみます。

頬袋とは一体どういうためのものなのか、次の項目で見ていきましょう。

頬袋の役割とは?

頬袋の役割のほとんどは、餌を運ぶ道具のようなものです。

野生のハムスターは餌を見つけてその場で食べていては、他の動物に見つかって自分の命を落とすことになりかねません。

ですから、餌を自分の巣穴に持ち帰り、そこで食べれば安全でゆっくり食べることが出来るとわかっています。

人間のようにカバンなどはありませんから、そのカバンの役目を頬袋で果たしているのです。

吐き出すときは、手を使って外から頬袋をちょいちょいと後ろから押していることが多いです。

吐き出したものは自分の貯蔵として一か所にまとめておくことが習性となっているようです。

この吐き出したものには当然のことながら唾液が付いていますから、それがマーキングとなり「これは自分の食べ物だ」と主張することで他のハムスターにとられてしまう事が無いようにしています。

ただ、生ものなど腐りやすいものを貯蔵して、万が一それを食べてしまうと健康を害す原因になりますから、1日1回は貯蔵したもののチェックをし、生ものは取り除いてあげるようにしてください。

ハムスターにとっては「ここに置いていたのに!」という心境かもしれませんが、腐ったものをそのままにしておくよりはずっといいので、普段のお掃除の時に一緒に取り除くといいでしょう。

頬袋は食べ物だけでなく巣材など、ハムスターの生活に必要なものを運ぶ時にも利用します。

赤ちゃんが小さいうちは、赤ちゃんも頬袋に入れて運ぶということも聞いたことがありますが、実際はどうなのかは不明な部分でもあります。

物によっては頬袋に張り付いたままになり、取れなくなっていることもありますので、十分注意が必要です。

頬袋とストレスの関係

見たことがある人がどれだけいらっしゃるかはわかりませんが、ハムスターが突然、慌てて頬袋の中の物をどんどん吐き出していることがあります。

狭いところに入れられている時や、無理やり捕まえられた時などに見られることが多いです。

それはどういうことなのかといえば…

今すぐここから逃げ出したい!!という事になります。

つまり、頬袋の中身を投げ出すことで少しでも体を軽くして、そこから逃げたいのです。

もし、あなたの家に飛行機が墜落して来たら…刃物を持った人が自分に向かって来たら…そんな時、立ち向かっていくよりもその場から逃げようとしますよね?

まさにハムスターはそれくらいの危機を感じているのです。

自分が生きていくうえで一番重要ともいえる食べ物を投げ出してまで逃げたい気持ち、どれだけの危機迫る状態であるかは想像できると思います。

このような行動を見せた時は、それを「カワイイ」などと言っている場合ではありません。

ハムスターにとっては相当なストレスなのです。

財を放り出して逃げたい気持ちの表れです。

最初は驚いてそのまま見入ってしまうかもしれませんが、そうではないという知識が少しでも頭の中に入っていれば対応できると思います。

もし、ハムスターがそういう状態でいるのであれば、そのストレスの原因をすぐに取り払ってあげましょう

そして、ハムスターにとってのストレスになってしまうような行為は避けるようにしてあげましょう。

エサを出さない時の対処法

ペットとして飼われているハムスターは、よっぽど悪質な飼育をされていない限り、食べ物をお皿からハウスや貯蔵庫に持ち帰る程度ですぐに頬袋から出すと思います。

ですが、妙に頬袋がパンパンになったままであったり、いつもとは違う膨らみ方であったり、出しているそぶりが無いようであれば対処が必要です。

明らかに食べ物が入っているのに出さないという時は、食べ物を出したら取られてしまうという気持ちが隠れているかもしれません。

そういう場合は飼主のかまい過ぎが原因かもしれませんから、安心して過ごせるような配慮をしてあげましょう。

それでも、口の中から出さない場合はどうしたらよいのでしょう?

手でもむ

頬袋の膨らんでいる部分を指で軽くつまんで2、3回程度ほぐすようにしてみましょう。

指先の感覚で、それが餌の一部であるのかそうでないのかも判断できると思います。

出さないのではなくて、出せない状態なのかもしれません。

もし、タネ類が詰まっているようなのであれば、揉み解すような感じで数回に分けてやってみると、ほぐれて口から吐き出すと思います。

あまり強く何回もやってしまうと頬袋が傷ついてしまうことがありますから、軽く揉み解すような感じで、後ろから押し出すようにするといいでしょう。

軽くマッサージをするような感じで優しくしてあげてください。

首の皮を掴んでみる

首の皮を背中側からつまんで、少しだけもちあげてみましょう。

頬袋のふくらみに沿って指を背中側に撫でるような感じでつまみます。

持ち上げるのは、ハムスターの足が床からほんの少し離れる程度で大丈夫です。

少しストレスを与えるような形に感じてしまうかもしれませんが、皮が伸びることでハムスター自身が自分で吐き出すことがあります。

できるだけ自力で出してもらいたいですし、ちょっとしたきっかけで吐き出してくれることもあるので試してみるのも良いと思います。

ただし長時間持ち上げっぱなしはやめてくださいね。

長くても3秒くらい持ち上げて、すぐに開放してあげてください。

それでもし、中の物が動いた様子があれば、上記のように頬袋を後ろから口へ向けて押し出すように軽くマッサージをして出してもらうようにしましょう。

中には暴れてしまう子もいますから、そういう時はすぐに離してこの方法は中止して下さい。

病院で検査してもらう

つまっていたものを綿棒で掻きだしたという話もネット上にありますが、素人はやらない方が賢明です。

なぜなら頬袋を傷つけてしまう可能性がかなり高いといえるからです。

我が家のハムスターは気付いたら、頬袋が膨らんだ状態になっており少し触ったところ、とても硬く何かが詰まっているのか、しこりなのか、だとしたら腫瘍ではないかと焦りました。

ただ、食事をしている最中に見つけたので、大きなペレットでもそのまま入れたのかもしれないから少し様子を見ようと思い、次の日の朝まで待ちました。

けれども、大きさも変わりなく、膨らんだままになっていたため病院へ連れて行きました。

その子は他の疾患も抱えていたため、私は無理に揉んだりせずに獣医さんにお任せしました。

獣医さんでも「あまりにも硬いから詰まっているだけではないかも…」とおっしゃるくらいでしたが、少し揉んで休んで、また揉んで休んでを繰り返したところ、無事に口の中の物を吐き出してもらえました。

念のため綿棒で頬袋の中を診てもらいましたが、特に問題は無く、ソバの実が殻ごと詰まっていたと判明しました。

獣医さんが綿棒で頬袋を見ているのはとても簡単そうに見えました。

自分でもできるような感じに思えたのも事実です。

何事もそうですが、プロが簡単そうにやっているのを見ると自分にも出来るのではないかと錯覚を起こします。

例えば、料理人がフライパンを上手に操作して、ホットケーキをひっくり返しているのを見ると、やれそうだなと思ったりします。

ところがいざやってみると、全然ひっくり返らなかったり、どこかへ飛んで行ってしまったりするものです。

プロはプロなりに勉強をし、実践を何度も繰り返して経験もたくさん積んでいます。

それと自分を一緒にするなどおこがましい限りです。

ハムスターを大切に思うのであれば、まねごとをするより専門の獣医に任せるのが安心です。

頬袋の病気と手術費用

毎日のように当たり前に使っている頬袋ですが、頬袋にも病気があります。

頬袋の病気は先天性のものは少なく、普段のお世話で疾患が出てしまうことが多いです。

知っておけば病気の予防にもなります。

もちろん、気を付けていても病気になってしまう事もありますが、それでも何もしなかったよりは軽傷で済んだということもあります。

こちらであげるものがすべてではありませんが、よくあるとされる病気を知っておきましょう。

腫瘍

出典元:https://hamsterclub.net/category/sick-hamster

ハムスターは腫瘍が出来やすい動物で、残念ながら頬袋にも腫瘍が出来ることがあります。

それは内側外側問わず、位置も関係なく出来てしまいます。

頬袋そのものに出来ていなかったとしても、頬付近に出来た腫瘍に圧迫されて使えなくなることもあります。

使えなくなれば、食欲がなくなってしまったり、持ち帰ることが困難になるため貯蔵をしなくなってきますので、食べている時に頬袋を使っていないようであれば頬袋に何らかのトラブルが起きていると気づくことが出来ます。

この時点ではあまり深刻ではないと思って病院に連れてはいかないかもしれませんが、健康診断もかねて診てもらい、早めに病気を見つけることができるかもしれません。

頬袋に限らず、腫瘍全部に言えることではありますが、飼主が腫瘍を確認できたときにはかなり進んでいる可能性があります。

ただ、頬袋やその付近に出来た時には、目ヤニが出たり、涙目になっていたりすることがあるようです。

目が少しおかしいなと思ったら、頬袋付近の状態も確認してもらうと早期発見につながることもあるでしょう。

しこりのようなものを見つけたら、すぐに病院に連れて行き診察してもらいましょう。

高齢の場合は手術は難しいので薬で抑える場合もあります。

摘出手術になる場合は病院にもよりますが、2万円~10万円以下と言われています。

炎症(腫れ)・膿

ハムスターは食べ物を頬袋に詰めて運ぶため、それが口の中に張り付くようなものだと、それを出すことが出来ず、口の中で腐ってしまい炎症を起こすことがあります。

特に人間の食べるお菓子や食べ物はそういった危険が含まれている可能性が高いです。

人間の食べるご飯やパスタなどは絶対に与えないでください。

ハムスターや小動物用の専用の餌を与えるようにしましょう。

また、ハムスターは食べ物だけでなく巣材や興味のあるものを頬袋に詰めて運ぼうとします

部屋んぽなどの最中に、何かを見つけると頬袋に詰めてしまうこともあり、それがプラスチックや割れたガラスの破片など危険なものの可能性もあります。

そういった場合も頬袋に傷が付いてしまい、炎症を起こしてしまったり、傷が化膿してしまいます。

部屋んぽをさせる際には、口に入れてしまうような小さなかけらなどがないよう掃除をしておきましょう。

炎症や膿がたまってくると頬が膨らんできます。

餌が詰まっている時とは違って、どんどん膨らみ放っておくと破裂してしまいます。

触り心地も餌が詰まっている時はボコボコとしたような感じですが、炎症時は肉の塊の弾力のような感じです。

さらに、触ると痛がって嫌がりますから、わかりやすいと思います。

早急に病院に連れて行きましょう。

膿の場合は口が臭くなりますので、こちらもすぐにわかります。

いずれにしても、早めに見てもらい適切な処置をしてもらえば治る可能性も高いです。

手術になると病院にもよりますが、何万円とかかる場合もあります。

普段から頬袋が傷つかないような配慮が必要です。

頬袋脱

頬袋のトラブルでも知名度が高いのが頬袋脱です。

文字の通り、口から頬袋が出てしまう状態の事です。

原因は腫瘍などによる炎症や、刺激物を口にしてしまったことによる炎症が考えられます。

ほとんどの場合が突然発症するので、腫瘍のように徐々にという事はありません。

頬袋が出てしまうと、ハムスターが自分で戻したりすることもあるため、また出ても大丈夫と思いがちですが、頬袋脱は癖になってしまう可能性があります

そして出たまま噛んでしまったり、そのままの状態であると頬袋が乾いてしまい、頬袋が壊死してしまいます。

処置が遅くなればなるほど命の危険も迫ってきます。

頬袋脱が夜中で病院にすぐに連れて行ってあげられないような場合は、頬袋が乾燥しないようスポイトで頬袋に水をたらしてあげたり、こまめにしてあげなければなりません。

床材もウッドチップなど尖ったものだと更に頬袋を傷つけてしまう事もありますから、新聞紙やキッチンペーパーなど、出来るだけ柔らかく粉もふきにくい素材の物に変更しましょう。

トイレ砂や砂風呂を設置しているのであれば、そちらも取り除いてください。

病院へ連れて行く際にも頬袋が傷つかないようにしてあげる必要があります。

病院では、戻すのが困難であったり頬袋が壊死してしまっている場合は、切除手術をすることになります。

手術費用は1万円~3万円ほどではありますが、どの手術にもプラス診察料、薬代、術後の入院費、通院費などがかかるということも念頭に置いておきましょう。

まとめ

いかがでしたか?

ハムスターの可愛い特徴の頬袋は、食べ物を詰めて運んだり、巣材などハムスターの生活にとって欠かすことのできない体の一部です。

頬袋が病気をもってしまわないように、餌は小動物用の物をあげたり、口の中に付いてしまうようなものを与えないなど、普段のお世話で予防することは出来ます。

それでもトラブルを抱えてしまった場合も高額にはなりますが、早めの処置で助けてあげることも出来ます。

1日でも長く一緒に暮らしていけるように、毎日のお世話で出来ることをしていきましょう!

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